永久国債って?

英国が「永久国債」の発行検討 財政危機乗り切るための奇策?産経新聞 2012年3月14日)


財政再建に取り組む英国のオズボーン財務相国債市場での資金調達コストを低く抑えるため、100年物国債か永久(無期限)国債の発行を検討している。英国で永久国債が発行されるのは第一次大戦の戦費を支払う「戦時国債」以来。年金基金など国債市場参加者の反応が良ければ新年度内に発行されるが、財政危機を乗り切るための「奇策」ともいえそうだ。英メディアが一斉に報じた。

欧州連合(EU)の統計機関によると、英国の政府債務残高は昨年第3四半期で国内総生産(GDP)の85・2%(前年同期比6・9%増)。2010年5月に発足した保守党のキャメロン政権が間髪をいれず財政再建に取り組んだ結果、国債市場の信頼を得て国債の最上級格付けを維持、10年物国債金利も2・17%と落ち着いている。

これに対し、債務レベルが同じフランスは欧州単一通貨ユーロ圏の債務危機のあおりで国債の最上級格付けを失い、10年物国債金利も3%近くまで上昇した。

現在、英国で満期までの期間が最も長い50年物国債金利は3%。30年物国債も3・24%と歴史的な低金利を記録している。このため、21日に新年度予算案を発表する同財務相は債務管理局に100年物国債や永久国債の可能性について国債市場参加者に打診するよう指示した。

3カ月後の返答を待って反応が良ければ金利や発行額を決め、新年度内にも発行したいという。

永久国債の場合、元本は返済しなくてもいいが、一定の金利を永久に払い続ける仕組み。英国では同様の国債第一次大戦の戦費支払いやバブル経済の語源となった南海泡(ほう)沫(まつ)事件(1720年)の後始末のために発行されている。メキシコは10年10月に100年物国債を発行している。

金融危機後、日米欧の中央銀行はいずれも超金融緩和策をとっているため、ギリシャポルトガルなど債務危機国を除き、各国の国債金利は落ち着いている。このため、3%以上の金利が半永久的に見込める100年物国債や永久国債が発行されれば、年金基金など機関投資家の人気を呼ぶ可能性がある。

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