前代未聞の会期延長

国会:延長方針決まらぬまま、前代未聞の会期末毎日新聞 2011年6月21日)


通常国会は政府・民主党が会期延長に結論を出せないまま、22日の会期末を迎えた。会期末に延長を議決した例は過去に20回(1940〜50年代の再延長を含む)あるが、当日まで方針が決まらないのは「例がない」(衆院関係者)という。民主党岡田克也幹事長は21日夜、菅直人首相との会談を受けて自民党に「70日延長」を伝え、事態打開に動いたが、それでも歴代内閣と比べると、菅政権の混乱ぶりは際立っている。

58年の国会法改正で通常国会の会期延長が1回に限定されて以降、会期末に延長を議決したことは9回ある。最近では、竹下内閣の第114回(89年)▽第2次橋本内閣の第142回(98年)▽小渕内閣の第145回(99年)▽第1次小泉内閣の第154回(02年)−−があるが、いずれも前日までに政府・与党で延長幅は大筋決まっていた。今回は菅直人首相の退陣時期とも絡み、延長幅は21日になっても「120日」「50日」「70日」とぎりぎりまで定まらず、文字通り異例のケースといえる。

通常国会で延長幅が最も長かったのは、鈴木内閣の第96回(82年)の94日。この時は参院選の全国区を廃止し、比例代表を導入する公職選挙法改正が焦点だった。第2次佐藤内閣の第61回(69年)は、大学紛争を収拾する大学運営臨時措置法案を成立させるため72日延長された。当時は与野党が国会で激しい攻防を繰り返した時代だった。

ほかにも、第2次岸内閣の日米新安保条約▽小渕内閣の国旗・国歌法案▽第2次小泉内閣郵政民営化関連法案−−など、50日以上延長した通常国会では、時の政権が重要な政治課題を抱えていた。だが今回は、菅首相の意向で11年度第2次補正予算案、再生エネルギー法案、第3次補正予算案−−と、終盤になって課題が次々と上乗せされた。自民党が「何のためにどれだけ延長するのかはっきりさせてほしい」(石原伸晃幹事長)といらだつのはこのためだ。

会期末前日の21日になっても延長幅を議決できなかったことに、公明党の漆原良夫国対委員長は「こんな国会は初めてだ」とあきれ、共産党穀田恵二国対委員長も「政権党の混迷ぶりが極まり、被災地、被災者を忘れている」と批判した。新党改革舛添要一代表は「自分のところの腹が固まっていないのに、外部と交渉して成功するはずがない」と民主党政権の稚拙さを指摘した。

民主党政権はスケジュール感覚がゼロで行き当たりばったりだから、こういうことが起こるのだ。
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