指定弁護士 状況証拠重ね有罪主張

指定弁護士 状況証拠重ね有罪主張産経新聞 2012年3月9日)


東京地裁が、小沢一郎被告への「報告・了承」を認めた元秘書らの供述調書の大半を不採用としたため、指定弁護士側は論告で、4億円を提供した経緯、元秘書との関係性など間接的な事実を積み重ねて、有罪の主張を組み立てた。

「基本的な共謀に関しては、具体的な日時、場所を特定した謀議行為は証拠上明らかではない」

直接証拠となる調書が却下され、指定弁護士側は論告でこう言及せざるを得なかった。だが、謀議が立証できなくても、小沢被告の関与を示す状況証拠を列挙することで、「共謀の成立は明らか」と強調した。

指定弁護士側が重視したのは、元秘書にさえ巨額の資産の存在を隠していた▽4億円を提供した後、年間約450万円の利子を支払ってまで、銀行融資の書類を作成した▽現金での4億円返済を元秘書に指示した▽週刊誌に対する虚偽回答に自ら関与した−などの事実。「小沢被告は一貫して多額の現金を保有している事実が明らかになることを避けようとした」と指摘し、虚偽記載に強い動機があったことを印象付けた。

土地購入について小沢被告は高い関心を示しており、元秘書の石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=らが小沢被告の指示、了解なしで虚偽記載を行う動機は全くないとも強調し、小沢被告の関与を浮かび上がらせた。

また、「報告・了承」調書の中で、唯一証拠採用された池田光智元私設秘書(34)=同=の調書も引用。「石川議員からの引き継ぎで小沢被告に平成17年分の収支報告書について報告した」とする内容から、16年分についても石川議員から報告を受けたことが認められるとした。

さらに指定弁護士は、状況証拠とのさまざまな矛盾点を指摘し、小沢被告の弁解は不合理だと主張した。

特に、銀行からの融資について石川議員から説明を受けたことはないとする弁解は、説明を認めた石川議員の証言や、弁護側の主張とも矛盾すると指摘。虚偽であることは明白とした。

陸山会公判をめぐっては、石川議員を取り調べた検事が実在しないやり取りを捜査報告書に記載していたことが発覚。弁護側は、虚偽の報告書を基にした起訴議決は無効として公訴棄却も求めているが、指定弁護士側はこの点について「捜査や裁判の専門家ではない市民が証拠の評価を誤ることはあり得る。その判断が誤っていたという理由からでは、議決は無効にならない」と反論した。

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