生活保護問題

「西成特区」で仰天改革案 生活保護受給者「就労所得貯蓄」で自立支援産経新聞 2012年4月8日)


大阪市橋下徹市長が活性化に向けた特区構想を打ち出した同市西成区で、生活保護受給者が働いて得た収入を行政側で積み立て、生活保護から抜ける自立時に一括返還して初期生活費に充ててもらう制度を導入するという改革案を、特区構想担当の市特別顧問、鈴木亘学習院大教授(社会保障論)がまとめたことが7日、分かった。区民の4人に1人が生活保護受給者という状況の中、受給者の就労・自立を促し、市財政を圧迫する生活保護費の縮減にもつながる一石二鳥の案としており、鈴木氏は近く橋下市長に提示する。

不況を背景に、生活保護受給者数は全国的にも過去最多の更新が続いており、厚生労働省も同様の制度創設の検討に入ったが、自治体の事務量増大などの課題がある。西成区で制度が導入されれば全国のモデルケースとなる可能性もあり、成否が注目される。

現行の生活保護制度では、原則として受給者の就労所得などが増えるとその分保護費がカットされるため「労働意欲の向上につながらない」との指摘がある。また、受給者が自立すると、それまで不要だった公的医療の保険料や医療費の窓口負担などが必要となり、自立時の生活費を圧迫する実情もある。


鈴木氏の案では、西成区の受給者に自立支援プログラムによる5年間の就労義務を課し、収入は区の福祉事務所で貯蓄。自立時に返却するとしている。就労報酬額は、3年程度は最低賃金大阪府は時給786円)の適用除外として同400円程度とし、その後は最低賃金にすると仮定。企業側にも雇用義務を課し、若い労働者と雇用者のマッチングが図れるとともに、就労経験による技術習得にもつながるとしている。

人口約12万人の西成区生活保護受給者は、今年1月現在で2万8412人にのぼり、大阪市全体(15万2703人)の2割近くを占める。市の受給者数は全国の市町村で最多で、平成23年度予算ベースでの生活保護費は、一般会計全体の約17%に当たる2916億円に達し、市財政を圧迫。縮減が喫緊の課題となっている。

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