小泉進次郎の東大演説

22日午後、東京大学駒場祭(東大駒場キャンパス)


「東大に限らず、今の若者は本当にすごいな、と思います。若い人の自由な発想と創造力で感動したことが最近あったんです。今年の流行語大賞の候補になっている50の言葉がある。『じぇじぇじぇ』とか、『今でしょ』、『おもてなし』という有名どころがある中で、その中の1つにあるのが『激おこぷんぷん丸』。私、初めて知りました。知らない方もいるかもしれないですが、そのまま、とても怒っている意味なんです。元は、怒っているの『おこ』からも『激おこ』になり、さらに怒ると『ぷんぷん丸』になる。いきなりその言葉を聞いただけでどういうことがいいたいかすぐに分かる。そんな新しい言葉を日常の中で作り上げていって日本中に広げてしまう。今の言葉の広がる力、私はこれ、すごいなあと。今の若者はすごい。一方、今年の流行語大賞には去年とは違い、お笑いの言葉がないんです。去年の流行語大賞は『ワイルドだろ〜』です。今聞くと一体何年前のことかと思う。言葉って怖いですよ。流行と飽き、廃れる早さはとてつもないですよ。

一方で、何十年も忘れられない言葉がある。その一つがケネディ(米国)元大統領のいくつかの言葉です。私が尊敬する歴史的な偉人の1人です。50年前の11月22日に米国のダラスでケネディ元大統領は暗殺された。彼の言葉に対してなぜ50年間も誰も忘れることなく語り継がれ、日本という別の国で今、32歳で政治家をやっている小泉進次郎という1人の政治家がどこか尊敬の念で見ている。なぜそう思うのか。ケネディ元大統領が亡くなる1年前にアメリカン大学で行った平和に対する演説は、歴史に残る名演説だといわれる。当時、冷戦が米ソがぎくしゃくして核戦争の崖っぷちになったときに、『たとえ敵であっても、同じ制度の下で生きていないとしても地球という同じ空気を吸っていることに変わりがない。心から願っているのは真の平和である』、とね。

「そして一番有名な名言は、大統領就任演説。『国が何をしてくれるかではなく、国のためになにができるかを問うてほしい』という名言。あの言葉が生まれたのは、ケネディ元大統領の大学生のときの学長の言葉だったです。学長が学生にした演説にこういう言葉がありました。『真に母校を愛する者は、母校が何をしてくれるかではなく、母校のために何ができるかを問うであろう』と。そっくりですよね。私も自分の母校で一度講演したときにこの話をしたんですが、ケネディ元大統領の言葉は50年経ってもみずみずしく、どこか、なんでこの言葉が日本の政治家から生まれないのかな、と憧れと寂しい気持ちがしながら私たちは見ることがあります。

そのためにはケネディ元大統領ではないけれど言葉をもって皆さんに訴えかけて、常にケネディ元大統領がワシントンの政治家や官僚ではなく、国民に対して全世界に対して発信し続けたように、私たちも永田町や霞が関ではなくて、国民の心に届くようなメッセージを発信しなければならない。そして関心を持っていただかないといけません。そうした中で、皆さんの代わりに国会で戦っている、議論している人がどんな人か、どういった人生を送ってきたか、そこからわき出てくるその人の思いや考え方、その人に与えた影響がどこから来ているのか、といった政治家という人に対する理解と関心をより高めていくことが、結果としては目の前の政策に対する難しい議論を行うより、若い人たちが自分たちから政治を知ろう、その政治家の発言に興味を持って聞いてみようと思ってもらえるのではないかと思うのです。