イギリス下院総選挙
総選挙の世論調査、あまりの外し振りに非難轟々 投票結果に影響か 野党が批判
7日に行われたイギリスの下院総選挙で、キャメロン首相率いる与党保守党が単独過半数(定数650議席)を獲得して勝利した。世論調査では、どの政党も過半数を取れない「ハングパーラメント(宙ぶらりんの議会)」になると言われていただけに、調査の精度の悪さに批判が集まった。 ◆予想外の保守党大勝 事前の調査では、保守党と労働党の支持率は拮抗し、ハングパーラメントになるのではと報じられていた。しかし、ふたを開けてみれば保守圧勝で、世論調査のあまりの外し振りに批判が集中。オバマ大統領の選挙運動を担当したデビッド・アクセルロッド氏も、ここまで完全な失敗は見たことがないとツイッターでつぶやいている(Daily Beast)。この事態に、イギリスでは主要調査会社が謝罪を行い、世論調査会社の業界組織であるBritish Polling Councilが、原因究明のため調査を開始すると表明した。 ◆世論調査の死角が露呈 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの政治学者、マイケル・ブルーター氏は、『ネイチャー』誌のインタビューで、世論調査と結果のギャップは驚くべきことではないと説明する。同氏の研究では、有権者の30%は投票日まで1週間を切ってからだれに投票するかを決め、15%は当日に決めると言う結果が出ている。投票所に来ても決断していない、または投票用紙を前に考えを変える人もいるほどで、今回の選挙は、多くの人が同じ方向に考えを変えた結果ではないかと述べている。 ブルーター氏はまた、人は誰に投票するかと聞かれたときには、多くが自分にとって最良の人物を選ぶと言うが、投票後には、国にとって最良の候補者に投票したと答えると説明。今回の保守党勝利は、必ずしも与党の政策の恩恵を受けていなかった人でも、保守党続投がイギリスにはベストと判断した結果だと見ている。ガーディアン紙も、経済に関心のあるミドルクラスが多い地区では、保守党が選ばれたと指摘。より経済運営がうまく、より有能なリーダーを擁す党として、支持を得たようだと説明している。 ◆世論調査が流れを変えた? 今回議席を大幅に減らしたLDの選挙運動を取り仕切っていたパディ・アシュダウン氏は、世論調査の不正確さによって同党が「殺された」と発言。保守党が明らかにリードという正しい状況が世論調査で示されていたなら、有権者への違う訴え方もあったとして、世論調査が皮肉にも保守党の助けとなったと不満を述べた(ガーディアン紙)。 |