ポスト菅レース

ポスト菅レース「号砲」 「親小沢」「反小沢」の対立再燃か 野田氏VS他候補 前原氏の動向は?産経新聞 2011年)


「ポスト菅」を決める民主党代表選はいやが応でも増税の是非が争点になる。これは小沢一郎元代表を軸にした「親小沢」と「反小沢」の抗争が再燃することを意味する。

11日朝、官邸入りした首相は記者団に「野田財務相の論文は読みましたか?」と問われ、ニヤリと笑った。

「まあ、ゆっくりね…」

論文とは野田氏が10日発売の月刊誌「文芸春秋」に寄稿した「わが政権構想」。「時機が来れば私は先頭に立つ覚悟だ」と代表選への意欲を表明したが、首相が関心を寄せたのは別の部分だった。

「もはや震災を理由に財政健全化への取り組みを先延ばしにすることはできません。覚悟をもって社会保障・税の一体改革を実現していく」

消費税を「2010年代半ばまでに10%に引き上げる」と明記した一体改革の継承を野田氏が明言したことに首相は「我が意を得たり」と感じたに違いない。

10日の衆院財務金融委員会では首相は野田氏と和やかに談笑し、増税について「次の世代の皆さんが腹にしっかりと据えて取り組んでもらいたい」と語った。増税を正面から説く候補は野田氏しかおらず、事実上の後継指名と言えなくもない。

だが、首相の援護射撃は、最有力候補である野田氏の弱点となりかねない。

他候補が国会議員20人の推薦人確保に四苦八苦する中、野田氏にその心配はない。自らが率いるグループ「花斉会」に加え、仙谷由人党代表代行(官房副長官)や岡田克也幹事長ら党執行部、長島昭久衆院議員ら「国益を考える会」など中間派も支持する公算が大きいからだ。

ところが、野田氏が一体改革を含め菅内閣の政策継承を掲げれば様相は一変する。

首相に党員資格を奪われた小沢氏は「反増税」を説き、マニフェスト見直しにも猛反発。鳩山由紀夫前首相も足並みをそろえる。両氏を支持する120人以上は「反野田」で動くに違いない。

逆に言えば党内基盤が脆弱(ぜいじゃく)な候補は小沢氏らの支援を取り付けるしか野田氏に対抗するすべはない。そのキーワードが「反増税」。小沢鋭仁氏は「増税なき経済成長」を唱え、馬淵氏は「瀕死(ひんし)の重傷のこの国の負担になる」と断じる。樽床氏も「まず経済危機を乗り切ること」と訴える。

そうなると海江田、鹿野両氏ら現職閣僚には逆風となる。西岡武夫参院議長は11日、「内閣は一体で責任を負う。菅政権の閣僚は共同正犯だ」と述べ、現職閣僚に出馬資格はないと言い放った。

ただ、小沢氏らの支持を受けるリスクも少なくない。マニフェスト見直しは困難となり、自民、公明両党との協力は難しい。小沢氏の公判が始まれば擁護せねばならない。

野田氏と対抗でき「小沢色」の薄い候補はいるのか。来秋の代表選を本命視する前原氏に待望論が絶えない理由はここにある。前原氏は11日、自らのグループ「凌雲会」でこう呼びかけた。

「代表選では一致した行動をお願いしたい。今後頻繁に場を持ちますのでよろしく」

さて、どうなるかね。
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