ブーメランから逃げるな
ブーメランから逃げるな(産経新聞 2011年9月18日)
民主党という政党を語るとき、しばしばブーメランという言葉が持ち出される。敵を倒すために投げつけたはずの武器が、自分に戻ってきて避けきれず自爆するという比喩で用いられている。 自民党閣僚の年金未納問題を追及していた菅直人代表(当時)に、自らの未納疑惑が発覚したり、自民党議員の事務所・光熱水費の問題を追及すれば、小沢一郎代表(当時)に不動産取得の問題が浮上したり…。チャンスをことごとくピンチに変えてしまい、政権交代に期待を寄せていた人たちを大いに失望させたものだ。 民主党のブーメランが最大の破壊力を発揮してしまったのが平成18年のいわゆる偽メール事件だ。自民党を追いつめるはずが、逆に自分たちのトップ(当時は前原誠司代表)の交代を余儀なくされる結果となった。これ以上ない正確無比なブーメランぶりだった。 そのとき、国対委員長の職を引責辞任したのが、ほかならぬ野田佳彦首相だ。あれから5年余りの歳月が流れたが、新首相にはブーメランの呪縛がある。 さて、その野田首相が政権交代前、「俺がやらねば」と題して夕刊フジに連載コラムを執筆していた時期がある。改めて読み返すと、ブーメランの芽があちこちに散りばめられていて興味深い。 「国会論戦が本格化すれば、不適格閣僚が居並ぶ安倍(晋三)政権はもっとボロを出すに違いない」(19年2月8日) 「マニフェストに載せたことは命懸けで実現する、載せなかったことには基本的に手をつけない。この意義がわかっていない自民党には、そもそもマニフェストを語る資格がない」(21年8月8日) 新政権発足早々、閣僚や党幹部の失言・暴言が相次ぎ、経済産業相もたった9日で辞任。子ども手当をはじめとするマニフェストも風前の灯(ともしび)だ。野党時代の首相が放っていたブーメランはもはや、命中寸前と言っていいだろう。 ただ、首相はコラムの中で、こんなことも書いている。 「『政局よりも景気』『危機の時に政治空白をつくるな』と、政府・与党の中からもっともらしい意見が出ているが、国難の時こそ民意を問うのが筋なのだ」(20年10月30日) 新政権が6割に近い高支持率で発進し、解散・総選挙は遠のいたといわれる。しかし、今は紛れもなく「国難」の時代だ。首相は自分のブーメランから逃げることなく、しっかりと標的を射ぬいてほしい。 |
そして民主党最大のブーメランは2002年の鈴木宗男批判、2009年の鈴木宗男要職起用に対し、2010年の鈴木宗男実刑だろうw