暴力団排除条例、全都道府県で施行

暴力団排除条例、全都道府県で 「大きな推進力に」産経新聞 2011年10月1日)


暴力団への利益供与などを禁じる東京都と沖縄県暴力団排除条例が1日、施行された。これにより、暴力団の資金源根絶を目的にした暴排条例が全都道府県で出そろった。事業者にとっては暴力団の要求を断りやすくなり、警察庁の安藤隆春長官は「社会全体が暴力団排除に取り組む大きな推進力になる」と期待を寄せている。

暴排条例は、現在も手榴弾(しゅりゅうだん)などを使った過激な抗争や企業テロが続発する佐賀、福岡両県などで平成21年に制定されたのを機に全国で整備が進んだ。

各県によって内容はさまざまだが、標準的な規定は、公共工事からの排除や学校などの公共施設周辺での暴力団事務所開設の禁止など。暴力団への利益供与を禁止し、勧告に従わなかった場合、事業者名を公表するという内容も目立つ。

独自の規定も多い。下請けを含めた公共工事からの排除(大阪府など)▽暴力団員の他人の名義使用禁止(東京都)▽暴力団員が青少年を事務所に立ち入らせることを禁止(愛知県など)のほか、暴排運動の功労者を表彰する(千葉、香川県)というものもある。

警察庁によると、9月末までに全国で31件の適用例が報告されている。大半はみかじめ料など暴力団への利益供与に対する勧告で、愛媛県では、山口組直系組織幹部を秋祭りのみこし取締会の役員に就かせ、行事に関与させていたとして役員2人に勧告した例もあったという。

暴力団幹部との交際を理由に引退したタレントの島田紳助さんの問題に絡み、芸能界における暴力団排除の動きも注目されている。

都条例では、芸能事務所が暴力団のパーティーなどに所属歌手やタレントを派遣することも、暴力団の活動を助長する行為とみなされる。悪質な違反には勧告などが出されるが、対象は事務所のため、芸能人個人の処罰はできないといった課題も残っている。

さらに、暴力団員や密接関係者でないことを確認する努力義務を事業者に課していることについて、法曹界の一部から「定義があいまいだ」として拡大解釈を懸念する意見が出ているが、警察庁幹部は「罰則や勧告はなく、あくまで努力義務。自主的な取り組みを促すのが目的で、適切に運営していく」としている。

暴力団排除条例、全都道府県で施行されました。
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