選挙制度改革 「比例代表連用制」なら公明躍進、民主激減

選挙制度改革 「比例代表連用制」なら公明躍進、民主激減産経新聞 2010年10月25日)


衆院選の「一票の格差」の是正に向け、各党の協議が動き出した。民主、自民両党以外の政党は、選挙制度の抜本改革もあわせて協議するよう主張している。特に野心的な改革案を提唱しているのが公明党だ。現行の小選挙区比例代表並立制に替わる制度として比例代表連用制を選択肢として提示。ただこの制度だと、大政党の議席を激減させることになり、民自両党の賛同を得るのは難しい。最終防衛ラインをどこに引くか、公明党にも迷いが生じている。(小田博士)

平成21年の衆院選における各党の得票を、公明党が提唱する比例代表連用制にあてはめた場合、公明党は倍以上の49議席に躍進し、共産、社民、みんなの党も激増する。逆に民主党は308議席から232議席に激減、単独過半数にわずかにとどかない結果となる。

なぜ、このような結果になるのか。その理由は、連用制では、各党の選挙区の獲得議席分を除外した上で、比例代表議席を配分するからだ。定数1の小選挙区での議席が難しい中小政党に対し、比例代表では優先的に議席を振り分ける制度といえる。

公明党山口那津男代表らは「民意を大胆に集約し政権交代を容易にする現行制度では、多数の死票が生じ(結果として)民意がゆがめられている」と抜本改革を主張している。

確かに、自民党は17年の郵政選挙民主党は21年の衆院選で300前後の議席を獲得したが、いずれも4割程度の得票で7割程度の議席を獲得した。現行制度は「民意を大胆に集約、ゆがめた」との指摘もあながち外れてはいない。

ただ、公明党が抜本改革を熱心に訴える背景には、制度改革の結果が同党の選挙戦略に直結しているという側面もある。

党の悲願は中選挙区時代の40〜50台の議席回復だ。しかし、17年の衆院選では3議席減の31議席に後退し、21年はさらに10議席減と惨敗した。現行制度では党勢回復どころか、退潮傾向を覆すのは難しい。

一方、大政党が単独過半数を獲得することが困難な連用制は、裏を返せば連立政権を常態化させる制度ともいえ、公明党みんなの党など第3党以下の政党にとってはキャスチングボートを握りやすくなるというメリットもある。

しかし、公明党執行部からは「連用制はどうせ無理」「今国会は小選挙区の区割り変更どまり」と悲観的な声も上がっている。

議論を長引かせて衆院解散・総選挙のタイミングが遅くなれば、25年7月実施の参院選東京都議選と重なる「トリプル選挙」になる可能性もある。都議選を重視する公明党としては、避けたいシナリオだ。

党内には参院選挙制度改革や議員定数削減の議論を絡めて民主、自民両党から譲歩を引き出すべきだという声もあるが、明確な戦略は描けていない。支持母体の創価学会の地方幹部からは「敗北主義だ。責任回避のための逃げだ」などと不満の声も漏れている。

公明党ねえ・・・。
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