存在しない署名簿

11.27大阪ダブル選:ドキュメント 倉田氏、一転出馬 存在しない署名簿毎日新聞 2011年10月27日)


「私が代わって橋下改革を引き継ぎます」。大阪府知事選(11月27日投開票)に出馬表明した倉田薫・池田市長(63)は27日午前、市役所で記者団に決意を語った。府内43市町村のうち28人以上の賛同署名を出馬の条件としていた倉田氏。「昨日の昼まではこうなるとは思っていなかった」。市民5人との懇談会ではこう説明した。

「倉田さんを支援してほしい」。25日、府南部の首長に吉田友好・大阪狭山市長(59)から電話が入った。首長は「今回は中立でいきます」と署名には応じなかった。別の首長も断ったという。

知事選には、橋下徹知事(42)が率いる「大阪維新の会」幹事長の松井一郎府議(47)が出馬表明している。「倉田さんを中途半端に推して維新が勝ったら、次の選挙で候補を立てられて落とされる」。署名を断った市長の側近は説明する。維新議員から、署名しないよう要請された市長もいた。

ある市長は「首長を巻き込んで踏み絵を踏ませるようなことをしたらだめだ。自分が命をかけて立候補すると言ってからだ」と批判した。一方、署名はしないが出馬すれば支援するという「△」の首長もいた。その一人は「この状況で出たら、『反維新』のらく印を押されてしまう。応援するが、署名を求められたら本当に困る」と漏らした。

26日、吉田氏は「朝出る時はだめだろうと思っていた」と言う。集計で署名に応じる首長が20人、「△」が10人と判明したのは同日午後2時ごろ。「応援すると言っているのに、△の人を見捨てるのは申し訳ない」。吉田氏は倉田氏に何度も電話して首長らの思いを伝えた。そのころ、市長室にいた倉田氏の元には、「出馬見送りへ」と報じる26日付朝刊を読んだ人からも次々と電話がかかった。「維新独占の大阪になる」「冷静に判断して大胆な決断をしろ」……。

夕方、倉田氏は自民、民主両党の関係者に出馬の意向を伝えた。署名活動を始める前から「3党合意が大切と思っている」と語っていた。吉田氏によると、20人の名簿はあるが、実際の署名はこれからもらうという。「その行動がいるかどうか。むしろここに至ってはない方がいい」。倉田氏がこだわったはずの署名簿は存在しなかった。

やれやれ・・・。
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