異例づくめの木嶋佳苗裁判

異例づくめ 裁判員「週4」 証人尋問63人産経新聞 2012年1月10日)


殺人容疑での逮捕から約2年。木嶋佳苗被告の裁判員裁判の初公判が、さいたま地裁で始まった。3件の殺人をはじめ、詐欺、窃盗など計10件の罪に問われた木嶋被告の公判では、4月13日の判決言い渡しまで裁判員の在任期間は100日に及ぶ異例の長さとなる。また、3件の殺人に関しては直接的な証拠がなく、法廷では延べ60人以上もの証人が出廷する予定。死刑求刑も想定されるだけに、裁判員の身体的、心理的負担が大きくなることは必至だ。

●裁判所に“出勤”

10日の初公判で法廷にそろった裁判員の顔ぶれは、男性3人、女性3人。男性2人は20〜30歳代、女性のうち1人は30〜40歳代とみられる。ほかには50〜60歳代くらいの男女が1人ずつ、60〜70歳くらいの女性が1人という構成で、年齢的なバランスは取れているようだ。

裁判員の在任期間は、5日に行われた裁判員選任手続きから4月13日の判決言い渡しまでで100日間を数え、過去最長となる。裁判員は初公判から3月13日の結審までの間、毎週平日は3、4日、法廷に出る必要がある。

1月は、公判がない平日は12、18、26日の3日しかない。さらに、結審後も話し合いの「評議」の時間を要するため、裁判員は裁判所に“出勤”するように連日通うことになる。仕事を持っている人なら、ある程度それを犠牲にしなければ審理をすることはできない。

●裁判官でも困難

 木嶋被告が起訴されている3件の殺人については、被告と犯行とを直接的に結びつける証拠はない。検察側は、被告が結婚サイトを通じて複数の男性と交際し、多額の金銭を得ていた▽睡眠薬を入手していた▽練炭やコンロを購入していた−など複数の状況証拠を提出。「犯行は木嶋被告以外にあり得ない」と立証する方針だ。しかし、状況証拠をどう評価するかはプロの裁判官でも難しく、裁判員は難しい判断を迫られる。

 また、木嶋被告は殺人に関して無罪を主張。弁護側は関係者の供述調書の多くを不同意としたため、証人尋問では延べ63人の証人が出廷する。裁判員はこうした証人たちの尋問もこなさなけばならない。

●なぜか「着替え」

木嶋被告はこの日午前10時過ぎ、青色のカーディガンとベージュ色のスカート姿で被告人席についた。短めの黒髪で、かつて自分のブログでつづった豪華な暮らしぶりを感じとることはできなかったが、やつれた様子はなかった。

罪状認否で、木嶋被告は大半の起訴事実をはっきりした声で否認。一部の詐欺については現金を受け取ったことは認めたが、「(被害男性との)結婚を真剣に考えていました。その点は嘘ではありません」と明確に述べた。

しかし、午後の公判では白のカットソー、紺のジャケットという姿に着替え、服装を一変した。さらに、口元には薄くリップグロスが塗られていた。公判の途中で着替えをするのは女性被告でも珍しく、変貌ぶりに驚いた様子の傍聴人もいた。

この裁判の裁判員って、しばらく生活が大変そうだね・・・。
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