オウム裁判

オウム初の裁判員裁判か 死刑囚の証人出廷濃厚産経新聞 2012年1月8日)


オウム真理教元幹部、平田信(まこと)容疑者(46)が警視庁に逮捕され、昨年末で終結したはずのオウム裁判が「再開」されることがほぼ確実となった。平田容疑者が取り調べ段階で犯意を否認していることや、オウム事件では初となる裁判員裁判になる可能性も高い。これまでのオウム裁判とはかなり様相が違いそうだ。

平田容疑者が逮捕された東京・目黒公証役場事務長の仮谷清志さん逮捕監禁致死事件で有罪が確定しているのは、麻原彰晃(56)=本名・松本智津夫▽井上嘉浩(42)▽中川智正(49)−の死刑囚3人を含む計9人。平田容疑者は宗教学者元自宅爆破事件でも爆発物取締罰則違反容疑で再逮捕される見通しだが、この事件では麻原、井上両死刑囚の関与が確定している。

捜査関係者によると、監禁致死事件について、井上死刑囚らは警視庁の再聴取に「平田容疑者は犯行計画を知った上で実行行為に加わった」という趣旨の説明をしたが、平田容疑者は「当初は計画を知らなかった」と犯意を否認している。

否認事件では弁護側が事件関係者の供述調書に同意せず、証人として出廷を求めるケースが多く、平田容疑者が起訴されれば、共犯者が法廷に出廷する可能性が高まっている。


尋問が不可欠

なかでも、捜査関係者が「事実関係解明には尋問が不可欠」と指摘するのが、井上死刑囚だ。確定死刑囚の出廷は極めて異例だが、法的には可能。井上死刑囚は監禁致死事件の計画、実行を主導しており、検察側の立証に重要な証言となるとみられる。

警視庁は他の共犯者への聴取も順次実施しており、ある法曹関係者は「平田容疑者が犯意を否認しつづけた場合、役割分担などを解明するために、多くの共犯者の尋問が必要になるだろう」と話す。

 一方、自身の公判でも意味不明な発言を繰り返した麻原死刑囚の出廷の可能性については、法務・検察内で「平田容疑者が麻原死刑囚から直接指示を受けたわけではなく、出廷の必要性は低い」と否定的な見方が広がっている。


執行先送りも

平田容疑者が逮捕監禁致死罪か爆発物取締罰則違反罪で起訴されると、裁判員裁判の対象となる。

裁判員制度では裁判員に分かりやすい立証を行うため、調書よりも法廷での証言を重視しており、調書が同意された場合でも証人出廷を求めるケースが少なくない。裁判員裁判となれば、証人がさらに増えることが予想される。

出廷する死刑囚の刑の執行時期も注目される。死刑の執行は法相の判断に委ねられている。平岡秀夫法相が慎重姿勢ということもあり、法曹関係者の間では「裁判が終わるまでは、執行が先送りされる可能性が高い」との見方が多い。

麻原死刑囚については「共犯者が多い事件なので他の証言で立証が可能となれば、執行を遅らせる理由にはならない」(法務省幹部)と影響を限定的にすべきだとの意見も根強い。

個人的には平田は逮捕監禁致死罪で起訴されず、逮捕監禁罪と爆発物取締罰則で起訴される。区分審理で仮谷さん事件は裁判官のみによる審理で、爆発物取締罰則裁判員裁判として起訴されるだろう。量刑は懲役6年〜8年くらいかな。
人気ブログランキングへ