最高裁の死刑求刑事案の無罪判決

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120224/trl12022417550003-n1.htm産経新聞 2012年2月24日)


広島市で平成13年、保険金目的で実母と娘2人を殺害したとして殺人や放火などの罪で死刑を求刑され、1、2審で無罪判決を受けた中村国治被告(41)の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は、検察側の上告を棄却する決定をした。22日付。無罪とした2審広島高裁判決が確定する。

死刑求刑の事件で、無罪が確定するのは極めて異例。4人の裁判官全員一致の意見で、横田尤孝裁判官は広島高検検事長時代の事件関与を理由に回避した。

中村被告は18年5月に別の詐欺事件で逮捕され、放火殺人を自供した。公判では否認に転じ、無罪を主張した。

同小法廷はまず、最大の争点となった自白の信用性について検討。実妹との接見や手紙などで自白内容を認めている点などを挙げ、「信用性は相当に高いという評価も可能」と述べた。

しかし、計約5・5リットルの灯油をまいたと自供したのに、被告の衣服や車内などから油成分を検出した証拠がない▽実母の保険契約について漠然とした認識しかない−との2点の理由から信用性を否定した2審の判断を「論理則、経験則に違反するものではない」と指摘し、無罪判決は妥当と結論付けた。

中村被告は借金返済に困り、13年1月17日未明、広島市西区の実家で実母=当時(53)=の首を絞めて殺害。就寝中の長女=同(8)=と次女=同(6)=を放火で焼死させ、3人の死亡保険金など計約7300万円を詐取したなどとして起訴された。

自白と客観証拠、厳格に判断 広島の放火殺人産経新聞 2012年2月24日)

明確な物的証拠がなく、自白の信用性が最大の争点となった広島の放火殺人事件。最高裁の決定は、自白内容と客観証拠の整合性を厳格に判断し、被告を「無罪」とした。

捜査段階で容疑を認めていた被告が、公判になって否認するケースは少なくない。捜査段階の供述と、法廷での証言のどちらが信用できるのか。取り調べの状況とともに、その重要な判断材料となるのが、現場の状況などの客観証拠だ。客観証拠を重視する流れは、裁判員裁判の導入で、さらに強まったともいえる。

一方、最高裁が決定で「犯人が被告である疑いは濃い」と指摘するなど、事件の真相は判然としないままとなった。発生から5年以上が経過した時点での逮捕で、証拠収集が難しかったとはいえ、捜査当局にとっては、自白に頼らない捜査のあり方が改めて問われる形となった。

この被告は「限りなく黒」だった気がするが・・・。まあ、無罪は無罪だからな。
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