沖縄の公民教科書の問題

竹富町の教科書 町民寄贈は無責任過ぎる産経新聞 2012年2月27日)


沖縄県八重山地区(石垣市与那国町竹富町)の教科書問題で、採択地区協議会の答申と異なる教科書を採択した竹富町が、町民からの寄贈という形で教科書を購入することを決めた。

法律違反を理由に国の教科書無償給付の対象外とされた自治体はなく、姑息(こそく)で無責任な態度というしかない。竹富町にはただちに採択をやり直し、同一教科書を選び直すことを求めたい。

採択地区協議会は昨年8月、平成24年度の中学公民教科書を育鵬社と決めた。石垣、与那国両市町は同社を採択したが、竹富町は別の社となり、地区内で同一教科書を選ぶよう定めた教科書無償措置法に違反する状態となった。

文部科学省竹富町に対し、法に基づく採択を行うよう指導した。10月、中川正春文部科学相が(1)同町を国の無償給付の対象としない(2)しかし、町費での購入は容認する−との方針を示した。

しかし、町費購入案は退けられた。5人の教育委員が費用を折半する案も出されたが、結局は町民からの寄贈に落ち着いた。

竹富町は今後も国に無償給付を求めていくというが、理屈としても通らない。新学期まではまだ時間がある。竹富町は今一度、法令違反の回避に努力すべきだ。

今回の騒動では、文科省の方針に問題があったことも、改めて指摘しておきたい。過去に自治体の費用で教科書を購入した例はなく、公費支出のあり方から見ても妥当性に乏しい。町民や議会の理解が得られないのは当然だ。

文科省はもっと毅然(きぜん)と竹富町を正すべきだった。違法を追認するかのような方針を示したことで、これから行われる各地の採択に禍根を残しかねない。

沖縄県教育委員会の誤った対応も非難されて仕方がない。本来、県教委は教科書採択へのさまざまな妨害や圧力から市町村教委を守る立場だ。にもかかわらず適切な指導を行わず、混乱を深めてしまった責任は重い。

新学期、生徒たちに教科書が届かない異常事態は回避されるかもしれないが、これで万事が落着したわけではない。

この問題にかかわった関係者の、政治的な信条などに引きずられた不見識な対応は見苦しかった。被害者は、違法行為の代償を負わされる同町の生徒たちだったと思い知るべきである。

今回は国の教科書無償対象にならない数が少なかったから寄贈で済んだものの、生徒数が多い場所で同様の事態が発生したらどうするんだろうかね?

まあ、産経は文部科学省を批判してるけど、今の法律ではこの対応はやむを得ないと思うがね。
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