石川知裕衆議院議員の有罪判決維持

小沢氏元秘書 再度有罪が問う政治家の責任(読売新聞 2013年3月14日)


元秘書を再び有罪とした司法判断は重い。

東京高裁は、小沢一郎生活の党代表の元秘書3人について、有罪とした1審の判断を支持する判決を言い渡した。

3人は小沢氏の資金管理団体陸山会の土地取引を巡り、政治資金規正法違反に問われていた。

判決は、小沢氏から借りた土地購入原資4億円を隠蔽するため、政治資金収支報告書に虚偽記入や不記載を重ねたと認定した。

虚偽記入や不記載は3か年分に及び、総額も18億円を超える点を挙げ、「かなり悪質だ」とも指摘した。形式的なミスなどではなく、意図的な犯罪行為だったと批判する判決である。

毎年公開される政治資金収支報告書は、政治活動が公正に行われているかどうかを国民がチェックする拠(よ)り所になる。虚偽記入や不記載自体が重大な犯罪だ。判決の指摘は当然と言えよう。

被告の一人である石川知裕衆院議員は昨年末の衆院選で、新党大地から立候補し、比例で復活当選した。判決を不服として上告したが、最高裁で有罪が確定すれば、議員の職を失うことになる。

焦点だった4億円の隠蔽について、判決は1審と同様の判断を示した。「小沢氏の選挙地盤で行われる工事の受注に絡み、中堅ゼネコンから裏金を受け取っていた」と認め、発覚を免れようとしたことが動機の一つと結論づけた。

小沢氏自身は無罪となり、元秘書による裏金の受領を一貫して否定してきた。今回の判決に対し、小沢氏は「極めて遺憾」とのコメントを出したが、裁判所が認定したゼネコンとの癒着をどう説明するつもりなのだろうか。

裁判を通じて改めて浮き彫りになったのは、政治資金規正法の“不備”である。

現行法では、収支報告書の虚偽記入の責任を負うのは、政治団体の会計責任者だ。このため、小沢氏のように、「秘書にすべて任せていた」「収支報告書は見たこともない」といった言い分もまかり通ってしまう。

先の衆院選で、小沢氏は、日本未来の党を創設して戦ったが、惨敗した。現在は生活の党を率いているものの、政界での存在感は乏しい。同時に陸山会事件への世間の関心も薄れている。

だからといって、事件を過去のものと片付けるべきではない。

会計責任者に対する政治家の監督責任を強めるなど、政治資金の公開制度の改善について、与野党は検討を怠ってはならない。

石川知裕衆議院議員政治資金規正法違反で東京高裁でも有罪判決が維持されました。