スコットランド独立否決

スコットランド独立否決 英国、自治拡大で新たな問題(産経 2014.9.19)


英国からの独立の是非を問うスコットランド住民投票は19日、選管が開票結果を発表、反対票が賛成票を上回り、スコットランドの独立は否決された。英政府は国土の3割、人口の8%を超えるスコットランド(人口約520万人)をつなぎ留めることに成功した。

 英国分裂による国力低下や経済混乱の危機は回避されたが、スコットランド側は今回「最大限の自治権」を得るとの約束を英政府から取り付けた。英国では他の地方でも分権要求が高まり、英国政治に長期的な影響を与え続けそうだ。

 地方選管は19日午前、独立賛成が44・7%、反対55・3%とする最終集計結果を発表した。登録有権者数は約430万人。投票率は84・5%だった。

 独立を目指すスコットランド行政府のサモンド首相は19日、敗北を認めたうえで、スコットランド自治権を拡大するとした英政府の約束が速やかに実行されるよう求めた。

 キャメロン英首相も19日、独立が否決されたことを歓迎するとともに、英国の主要3政党の党首が合意した約束は「完全に履行される」と述べ、新たな徴税権限や社会保障の支出などで、スコットランド議会の権限拡大を11月までに合意し、来年1月までに法制化することを明らかにした。

住民投票の余波は、スコットランドと同様に「連合王国」(英国)を構成してきたウェールズにもおよび、「われわれも平等の権利を持っているはずだ」として自治権の拡大を求める声をあげ始めた。キャメロン氏は、スコットランド以外の自治権拡大についても検討を開始したことを明らかにしている。

 独立派は、高福祉や非核化を求めるスコットランドの世論を英政府が無視してきたとの住民の不満を吸収して支持を拡大。しかし英通貨ポンドを引き続き使用できるかや欧州連合(EU)加盟の行方を明確に示せず、財政基盤とみなす北海油田の利益分配方法などでも説得力ある主張ができなかった。