メディアの在り方

青山繁晴 ザ・ボイス そこまで言うか!(AMラジオ 1242 ニッポン放送 平成26年10月23日)


青山繁晴:実際、僕が記者時代にあったことで・・・例えば、誰でも知っていることから言うと――阪神・淡路大震災というのがありました。ちょうど、僕は防衛庁担当だったんですね――当時まだ防衛省ではなくて防衛庁でした――当然、自衛官たちが瓦礫の中に分け入って、人を助け出すということの真っ最中に何が起きたかというとですね――防衛庁自衛隊の中を駆けずり回ってました、僕は――そしたら、海上自衛隊が神戸の港に接岸しようとして接岸できないでいると。つまり、神戸の労働組合等に「戦争の船は来るな!」「自衛隊は来るな!」と言って、それを行政もそのまま認めてしまって、近づけないと。(飯田「接岸を拒否したんですか」)はい。それを三重、四重に確認してですね、共同通信の政治部に送って、政治部からも「青山、本当これ大丈夫だろうな? お前を信用しているけど、これ間違ったら、お前のクビ飛ぶくらいならいいけど、社長のクビ飛ぶぞ!」と言われたから、「社長のクビははっきりいって、そんなの知りません」と、そうじゃなくて「僕は全部確認して、証言まで全部確認を取ってあるから、出してください」と言って、共同通信から配信したんですよ。配信した直後から、まず何が起きたかというと、防衛庁がヒヨったんですよ、防衛庁自衛隊が。特に防衛庁文民――つまり、シビリアンコントロールしてるはずの文官が飛んできてですね「青山さん、これ取り消してください!」と。「えっ、僕は事実関係全部確認している。どこが違うんですか!」って、「全部正しいから困るんです!」と。この情報は現地から出るわけはないんで、防衛庁自衛隊から出た、自衛隊もそれも中央から出たと――いわゆるバックというヤツですよ、わかっちゃうから、もう震えているわけですよ本当に真っ青になって。僕が言ったのは「何のために役人やってるんだよ!」と。で、言ってきたのは当然、高級官僚ですからね、東大をはじめそういうところの人ばっかりだから。「自分のやっていることをよく考えなさいよ! 何のために僕たちは仕事をしてんだよ! こういう時にやんなきゃダメじゃないか!」と言ったらですね、次に圧力をかけてきたのは共同通信そのものですよ。僕はそれもはねつけてですね、「この記事は間違っていないんで、いささかの問題もないから、記事を訂正したり取り消したりは絶対しませんよ」って。そしたら、「お前、辞める覚悟があんだろうな!」と、「当たり前じゃないですか! そのかわり、あなたも道連れですよ! こんなことが報道機関で許されていいのか!」と言ったらですね、今度何があったかというと、記者クラブを使ってきてですね、記者クラブ総会ですよ。臨時の記者クラブ総会、共同通信の青山記者の配信記事について、今から記者クラブで協議するになってですね。メチャクチャ怒って、「じゃあ、総会を開きましょう」となって、「皆さんが掴めなかっただけのことであって、僕は情報確認して出したので、この記事に間違いない」と言ったらね、例えばひっどい人もいて「情報源、誰なんだ!」と言うから、「何言ってんですか、あなたは! 我々は爪を剥がされても、本当は死刑になっても、情報源を言わないのが記者の最低限のモラルでしょ! 何言ってんだよ、あんたは!」と言ったら、「この小僧!」とか言うわけですよ、大ベテランだから。「あなたみたいな人が報道機関にいるから、国民の信頼が失われる!」とか言ってたら・・・。これは人の名前は絶対言わないけど、共同通信の超高級幹部の一人が酔っぱらって電話してきたんですよ。「青山、何やってんだよ、おめー! お前のために、みんな迷惑してるんだよー!」とか言って、「酔っ払いが何で電話してくんですか!」と言ったら、そしたら例の「辞める覚悟あるんだろうな!」と言うから、「あなたが先に辞めるんですよ! あなた、今酔っ払って電話してんだ! こんなこと、内輪もめしている場合じゃなくて、海上自衛官の方々を接岸させて、そして救助に当たってもらわないといけないんで、国民の命がかかっているんだよ!」と言ってですね。僕はあの時、本当は辞める随分前でしたが、僕はいつまでもこの仕事できないなと。違うところでまた戦わないといけないと。他の記者の人もみんな頑張って欲しいと思いましたけど、あの時に思ったことは忘れられないんですよ。