原英史参考人の石破4条件に関する答弁

吉田宣弘衆院議員(公明)の質問に対する原英史参考人の答弁

原英史氏「獣医学部新設規制はあまたの岩盤規制の中でもかなり異様」「規制改革のプロセスに一点の曇りもない」(産経新聞 2017年7月10日) 


いわゆる4条件については私は特区ワーキンググループの委員として関わってきた立場の認識を手短に申し上げたい。

1点目、既存の獣医師ではない養成の具体化について、今治市の提案では新たな分野での人材の育成、また感染症の発生拡大などに危機管理学術支援拠点として機能させるといった具体的な構想が示されていた。

2点目、ライフサイエンスなど獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要について、今治市の提案に加え、その後、京都府からもライフサイエンス研究や水際対策強化にかかる提案があり、より具体的な需要が明確になったと認識していた。また製薬業界から創薬の最先端分野で獣医師のニーズが拡大しているが需要が十分確保できていない声があることも認識していた。

3点目、既存の学部では困難かについてだが、ライフサイエンス研究、水際対策強化など新たなニーズについては既存の大学だけでは抱えきれておらず、だからこそ新たな需要が生じていると認識していた。文科省に設置された専門家会議が平成23年にまとめた意見だが、既存の獣医学部の教育について非常に厳しい指摘がなされている。口蹄疫鳥インフルエンザ、BSEの発生など獣医療が多様化、高度化する中で、新たな分野への対応が十分取れていない。

また最低限、共通的に教育すべき内容を十分に教育できていない大学がある。獣医師として求められる実践的な力を育む教育に課題がある。大学ごとの分析として獣医師養成課程の規模の小さい大学に課題が多いといった指摘がなされたわけである。その後の改善もなされていると思うが、残念ながらこれまでの経緯として既存の大学学部が必ずしも最先端の課題に応えていなかったどころか、基礎的な要請にさえ応えていなかったこともあったと認識している。

4点目、近年の獣医師の動向の考慮という点である。産業動物獣医師の確保に困っている地域が現実にあるということはこれまでも認識は共有されていたと思う。新たな分野でのニーズも含めて需給管理の観点からどうしても新設禁止を維持すべきだということであれば、その根拠となる見通しを示していただきたいと、平成26年以降、繰り返しお願いしてきたが、結果として示されなかった。

以上から4条件は満たされていると考えていた。こうしたことを山本大臣、松野(博一)文科大臣、山本(有二)農水大臣で確認をされて、特区での規制改革を進めたものと認識している。