佐藤優のコメントについて書いてみる

【佐藤優の眼光紙背】なぜ最高裁はこのタイミングで鈴木宗男衆議院議員 の上告を棄却したか?


最高裁判所は最高政治裁判所でもある。それは、2002年に鈴木宗男追放キャンペーンの中心に立った竹内行夫外務事務次官(当時)が現在、最高裁判所裁判官をつとめている事実からも明白だ。所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない。司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、かつ極めて政治的動きをする人物を行政機関である外務省から受けいれている最高裁判所という組織自体が、「司法権の独立」という名目からかけ離れた組織だということを筆者は指摘しているのだ。
元外交官の佐藤優のコメントですが、まあ色々と書いてみましょう。 改めて書いておきますが、私が過去に指摘したように佐藤優は「鈴木宗男の得票数について」で有権者数に差がありすぎる二つの選挙の得票数を前提条件を語らずに比較して鈴木宗男の得票数の伸びを印象づけるように見せて鈴木宗男擁護論を展開するという詭弁を行った過去があります。佐藤優はいろいろなことに経験や知識や見識はある人だと私は思うけど、佐藤優の本を読む場合はこういう詭弁を使う人間であるということを念頭に置く必要があるでしょう。 まず、最高裁判所裁判官の任命資格は裁判所法第41条で「識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者」が条件となっており、任命する内閣は「法律の素養がある」と判断すれば15人中5人まで任命することができるため、合法です。これは、法曹界という狭い世界だけで司法のトップを構成するのではなく、多様な立場の法律専門家の見解を反映するためです。基本的に、外務省出身者が最高裁判所裁判官に任命される場合は外務省条約局長というポストが「法律の素養のある」として登用される資格となっています。竹内行夫は1997年に外務省条約局長を歴任しています。2009年の最高裁判所裁判官国民審査では全国有権者からの審判によって全国で6244万票・北海道で282万票を集めて信任を得ています。北海道の有権者から43万程度の票しか得ていない実刑判決を受けていたどこかの国会議員とは違うんです(もう国会議員じゃなくなるかw)。信任か不信任かを選ぶ投票と八政党から一つだけを選ぶ投票ではやや性格が異なりますが、少なくとも私は北海道という同じフィールドでも票を比較しましたので、北海道を13区分された選挙区と北海道全体を1選挙区という前提条件を断りもいれずに得票数を比較する詭弁を使って実刑判決を受けていた国会議員を持ち上げたどこかの作家さんと私は違うことはここで明記しておきます。 なお1998年には佐藤優が心酔する東郷和彦が外務省条約局長になっているのですが、もし順調に出世して東郷和彦最高裁判所裁判官になっていたら(もっとも東郷和彦教養学部卒業であり、法学部以外で最高裁判所裁判官になる例は少ないのだけれど)、佐藤優東郷和彦を「司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、行政機関の出身者の最高裁判所裁判官」として批判していたのでしょうかねえ? それに、今回の判決は第一小法廷の裁判であり、竹内行夫が所属する第二小法廷は関与していません(というか、外務省出身裁判官の竹内行夫は外務省が絡む案件の裁判審理に欠席するでしょう。岡光事件の最高裁では厚労省出身の横尾和子最高裁判事が欠席してましたし)。「所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない」などとは逃げてるとしか思えません。 それと、鈴木宗男衆議院外務委員長に起用した鳩山政権は、第一小法廷の最高裁判所裁判官5人の内2人(横田尤孝・白木勇)を任命していますが、横田・白木の2人とも鈴木宗男の全ての罪を有罪と認めて実刑を確定させています。 「司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、行政機関の出身者」ということに難癖をつけるのであれば、佐藤優が心酔する鈴木宗男北海道開発庁長官時代の1998年に司法試験に合格せず法曹資格も持たない行政機関の内閣法制局の出身である大出峻郎を最高裁判所裁判官に任命した橋本内閣の国務大臣の一員として同意しています。 つまり、最高裁判所裁判官に「司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、行政機関の内閣法制局の出身者」を起用して、最高裁判所を「司法権の独立という名目からかけ離れた組織である最高政治裁判所」にさせた鈴木宗男は、佐藤優に言わせると公人(政治家)としてふさわしくない行動を取っていたということになりませんかねえ? それとも、自分が心酔する鈴木宗男様の場合は「司法試験に合格していない行政機関の出身者」を最高裁判所裁判官に起用してもいいが、自分が嫌いな人間なら「司法試験に合格していない行政機関の出身者」だからと因縁をつけて最高裁判所裁判官起用に反対するというダブルスタンダードを用いるんでしょうか? このことについて、是非とも佐藤優のコメントを聞いてみたいのですね。 人気ブログランキングへ 鈴木宗男衆議院外務委員長起用問題を見るにはここをクリック