朝日新聞の社説

衆院常任委員長 16人決定 (NHK 2009年9月18日)


衆議院の常任委員長について、民主党の推薦で外務委員長に内定していた新党大地代表の鈴木宗男氏の起用に、自民・公明・共産の2党が反発しましたが、最終的には18日の衆議院本会議で、内定していた16人の就任が正式に決まりました。

衆議院の常任委員長人事をめぐって、民主党自民党公明党は、それぞれに割り振られたポストについて人選を終え、すでに決定していた議院運営委員長を除く16人が内定していました。

こうしたなかで18日に開かれた衆議院議院運営委員会の理事会では、自民党公明党共産党の3党が、民主党が推す新党大地代表の鈴木宗男氏の外務委員長起用について、「刑事被告人を常任委員長にすることは、国会の倫理が問われる」などとして採決で決めるよう主張し、与野党の調整がつきませんでした。

このため、衆議院本会議は予定より1時間余り遅れて開かれ、横路議長が16人の常任委員長すべてを指名したいと提案し、民主党社民党国民新党などの賛成多数で可決されました。
このあと横路議長が、外務委員長の鈴木氏のほか、予算委員長を鹿野元農林水産大臣とするなど、内定していた16人全員を指名し、正式に決まりました。

鈴木宗男氏は国会内で記者団に対し、「野党には野党としての考えがあったのだと思うが、私は、立法府の一員として国民から選ばれたということを誇りに思いながら、外務委員長としての職責をしっかりと果たしたい。司法には司法の判断があって当然だが、立法府には立法府の判断があっていい。圧倒的な多数をもって委員長に就任できたので、逆にわかりやすかったのではないか」と述べました。

自公など、「鈴木外務委員長」に異議=衆院本会議、開会遅れ (時事通信 2009年9月18日)


18日の衆院本会議で選任された議院運営委員長を除く常任委員長16人のうち、自民、公明、共産各党が、民主党会派に所属する新党大地鈴木宗男代表の外務委員長就任に反対を主張。与野党が調整に手間取り、正午に予定していた本会議開会が1時間余り遅れた。

自民党は、本会議に先立つ議院運営委員会理事会で、受託収賄罪などに問われる鈴木氏の公判が続いていることを取り上げ、「刑事事件の被告人が委員長になった例はない」と指摘。委員長の選任は、本会議での採決を省略する動議を可決した後、議長が一括指名するのが慣例だが、自民党は鈴木氏について、採決するよう要求した。

これに対し、民主党は「推定無罪の原則がある」と反論。理事会で調整がつかず、民主、自民両党国対委員長が協議した。最終的には、本会議で外務委員長についても、手続きを省略し議長が指名するとの動議を与党の賛成多数で可決。これを受け、横路孝弘議長が鈴木氏を含む16委員長を指名した。

自民、「鈴木宗男外務委員長」に反対 異例の起立採決(朝日新聞 2009年9月18日14時12分)


衆院の常任委員長17人が18日、本会議で選任された。特別委員長7人も各委員会の互選で選ばれる。委員長の配分は民主党14人、自民党2人、新党大地1人。特別委員長は民主党5人、自民、公明両党が各1人。

新党大地鈴木宗男代表の外務委員長就任に自民党は反対。鈴木氏があっせん収賄罪などに問われ裁判が継続中のためで「国会の歴史で刑事被告人が役員についた例がない」(国対幹部)と主張した。着席したままの全会一致が慣例の常任委員長人事で、鈴木氏については起立採決という異例の形となった。

「国会人事―鈴木委員長への疑問」(朝日新聞社説2009年9月19日)


総選挙を経て、衆院常任委員会の新しい構成が決まった。民主党がおもだった委員長ポストをずらりと占め、巨大議席の威力をみせつけた。中にひとつ、異様な人事があった。鈴木宗男議員の、外務委員長への就任である。

鈴木氏はかつて自民党に所属し、外務政務次官北海道開発庁長官、内閣官房副長官などをつとめたことのあるベテラン議員だ。02年、あっせん収賄事件で逮捕され、一審で懲役2年の実刑、二審で控訴棄却の判決を受け、最高裁に上告している。

疑惑が発覚して離党し、逮捕されたあと、新党大地をつくって代表として衆院議員に返り咲き、さきの総選挙でも北海道比例区で当選した。民主党選挙協力し、民主党・無所属クラブという会派に加わっている。今回の委員長就任は、300議席を超すその巨大会派の意向によって可能になった。

だが、最高裁実刑判決が確定すれば、そのまま刑務所に収監される立場である。議員も失職する。そうした可能性のある人物が国会の要職にふさわしいとは思えない。

自民党などの野党が「国会の歴史で刑事被告人が役員についた例がない」と反対したのは当然だろう。

二審の東京高裁が認定し、鈴木氏が争っているのは次のような事実だ。

北海道開発庁長官だったころ、建設業者から6000万円のわいろを受け取った。製材会社から林野庁への働きかけを頼まれ、500万円のわいろを受け取った。衆院に証人喚問された際に偽証した――。

もちろん、被告は有罪が確定するまで無罪と推定されるのが刑事司法の大原則だ。加えて鈴木氏は逮捕されて以来、一貫して無罪を主張し、有罪判決に対して「国策捜査をした検察と裁判所が一体となった、司法の危機だ」と反発してきた。

そんな鈴木氏が有権者の支持を得て議員として活動するのはむろん自由だ。だが、この人事を押し通した民主党の見識を疑う。

来年の参院選挙に向け、新党大地との連携を深めたいとの思惑かもしれない。だが、少なくとも無罪が確定するまでこうした人事は控えるのが筋ではなかったか。民主党としてはむろんのこと、国会の倫理観が問われる。

鈴木氏は自民党時代、外務省とのかかわりが深く、人事や政策にも強い影響力を持ったといわれる。小泉政権では当時の田中真紀子外相らと激しい確執を繰り広げ、衆院議院運営委員長を辞任したこともあった。

そうした過去を思えば、なおさら今回の人事への疑問は膨らむ。これが政権交代で目指した「変化」なのか。党首としての鳩山由紀夫首相に説明を求めたい。国会のことは小沢一郎幹事長に任せたという釈明は通用しない。

鈴木宗男衆議院外務委員長に就任した際に、もっともまともだと思った記事はこれですね・・・。朝日新聞もたまにはいい記事を書いてます。 
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