民主党の倫理観欠如と要職起用責任

【主張】鈴木議員失職 民主党の起用責任は重い産経新聞 2010年9月22日)


あっせん収賄罪などに問われ、最高裁に上告を退けられた衆院議員、鈴木宗男被告の異議申し立てが棄却され実刑が確定した。近く収監される。国会法などの規定により、議員も失職した。現職の国会議員で実刑確定による失職は戦後4人目である。

鈴木元議員は北海道開発庁長官当時に地元業者が公共事業を受注できるよう取り計らうなどした。支援者への利益誘導のため、政治力を使って行政に不正介入し、その見返りにわいろを受け取ったというのは言語道断だ。

実刑確定に対して元議員は「異議から5日間での門前払いに驚き、日本は法治国家かと自問自答している」とコメントした。これまで検察との対決姿勢を鮮明にしてきた元議員だが、最終的な司法判断にまで異議を唱える姿勢は、国民からは理解されまい。

鈴木元議員を衆院外務委員長という要職に就けた民主党の責任も重い。実刑判決となる事態は想定できたはずだ。国民を愚弄(ぐろう)した判断だと言わざるを得ない。

背景には、昨夏の衆院選で元議員が代表の新党大地民主党と協力関係を結んだことへの配慮があったという。「刑事被告人の委員長指名は前例がない」と野党が強く反対したにもかかわらず、当時の小沢一郎民主党幹事長らが押し切ったとされる。

「論功行賞」で、いつ職務停止となるか分からない人物を委員長に起用するのは、倫理観の欠如を物語る。政局第一という民主党の姿勢を反映したものといえよう。政治への信頼を失墜させる行為である。横路孝弘衆院議長の指名責任も問われねばなるまい。

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