世代交代が進まない民主党

世代交代は「方便」?10年近く前と同じ顔ぶれですが…産経新聞 2011年2月26日)


来週28日で鳩山由紀夫前首相の首相在任期間「266日」と並ぶ菅直人首相。内閣支持率は2割前後をさまよう中、統一地方選を目前に控え、民主党内からは退陣論、野党からは衆院解散論が吹き荒れている、まさに四面楚歌なのだ。

それでも、266日到達目前まで政権を維持してきたのは、強制起訴となった小沢一郎元代表抵抗勢力に見立ることで、延命を図ってきた要素が大きい。

そして、もう一つある。菅首相の過去の発言をひっぱりだしてみると、遅々として進まない「世代交代」にたどりつく。

「次の世代にバトンタッチするまで菅直人に先頭に立たせてもらいたい」

小沢氏と一騎打ちとなった昨9月の党代表選。菅首相は直前の街頭演説でこう声を張り上げた。若手議員の取り込みのときも、自らの議員会館の部屋で「首相を一日でも長く続けて、次の世代にバトンタッチしたい」と支持を呼びかけた。

次の世代へのバトンタッチ−。「昔、どこかで耳にしたようなフレーズ」を連想させた。

9年前の党代表選だ。

平成14年12月、菅氏は岡田克也幹事長(当時)との一騎打ちを制し、代表に返り咲いた。岡田氏は世代交代を訴えたが、結局、「人気・実績の菅」を選んだのだ。

菅首相は11年の代表選で鳩山氏に敗れ、代表の地位から滑り落ちた。14年9月の代表選で再起をかけたが、またもや鳩山氏に退けられた。その後、鳩山氏が党内人事でつまずき辞任に追い込まれたのを受けた代表選で、ようやく復帰を果たしたわけだ。

その代表選の夜、森喜朗元首相や野中広務自民党幹部は会合で、こうささやいたという。

「昔の顔で出ています、というのは後々いかがなものかねぇ」

懸念は的中する。昨年9月の代表選でも、「いまだに次の世代にバトンタッチするまで…」と訴えていた菅氏。民主党関係者は「10年近くも状況が変わっていないなんて違和感を覚える」とこぼす。鳩山氏の言葉を借りれば、民主党の代表選でベテラン議員が叫ぶ「世代交代」論は方便にすぎないようだ。

なぜ世代交代の歯車は動かないのか。

「石にかじりついてでも」政権の延命に必死な菅氏。いまだに民主党オーナー意識が強く、暴言連発の鳩山氏。強制起訴され、党員資格停止処分を受けてもなお絶大な影響力を誇る小沢氏。党分裂の危機を迎え、3人による「トロイカ体制」は崩壊しても、政治家として自らの存在を脅かす存在を常に排除してきたからだ。

実際、党首、幹部のリサイクル人事が目立ち、「回転ドア」と揶揄される。新陳代謝が進まないから「『ポスト菅』は見当たらない。名前があがっている前原(誠司外相)さんは霞が関とか党内に敵が多い、野田(佳彦財務相)さんは薬にも毒にもならない」(民主党若手)と言われる始末だ。

「反菅」勢力に至っては、「次は『小鳩』への政権交代で、こちら側が主導して首相を出すのが順番」(民主中堅)との声もあがる。

首相が政治生命をかけるとまで言い切った税と社会保障の一体改革。国の将来を左右する大事な政策に違いないが、10年近くも前から積み残してきた世代交代という宿題にどう対応するのか。こちらの「一体改革」も待ったなしだ。

そういや、民主党は昔からの人間が要職にいて、世代交代が進んでいない印象を受けるよな・・・。
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