菅おろしの奇策

菅退治の秘策とは?小沢“知恵袋”が究極「ウルトラC」ZAKZAK 2011年6月16日)


菅直人首相の居直りがますます顕著になってきた。今国会を3カ月ほど延長し、内閣改造まで断行して官邸に居座る素振りを見せているのだ。「ペテン師」と呼ばれたことを逆手にとって開き直っているのだとしたら与野党の議員はもちろん、国民もずいぶんバカにされたものだ。こんな菅首相を退場させる手だてはないのか。国会を隅々まで知り尽くす「小沢一郎の知恵袋」こと平野貞夫参院議員(75)が秘策を明かした。

「俺をやめさせる手だてはないだろう」

菅首相はしたり顔で、周囲にこう話しているという。国会には、同一会期中に同じ議案を2回は扱わない「一事不再議」の原則があり、内閣不信任案を出せないためだ。

さらに、15日夜には、「再生可能エネルギー促進法」の制定を求める超党派の議員らの集会に出席。「国会には『菅の顔は見たくない』という人がたくさんいるが、ならばこの法案を早く通したほうがいい」と早期退陣を求める動きをあざ笑ってみせた。

菅首相は、東日本大震災の復旧に向けた2011年度第2次補正予算案の編成を指示するなど「続投」に意欲を見せる。2日の代議士会で示唆した「早期退陣」などなかったかのような、首相ペースの政局が続いている。

しかし、国会の裏の裏まで熟知する平野氏は「菅首相を退陣に追い込む技術的な手はある」という。「一事不再議を定めた法律はない。『不信任の理由』が異なっていれば、内閣不信任案の再提出は可能」というのだ。

たしかに、一事不再議は、国会の効率的運営のための慣例で、憲法や国会法で規定されているわけではない。現に、昨年の通常国会では、横路孝弘衆院議長に対する不信任案が2回提出されている。平野氏は続ける。

「ただ、不信任案否決から1カ月かそこらで、『(菅内閣の)政治の運営がおかしい』といって再提出するのは問題。そこで、まずは衆院で『総理大臣辞任勧告』や『辞任要求』『内閣総辞職勧告』といった決議案を野党が出し、与党の一部が賛成して可決させる」

辞任・辞職勧告は、公職の身分にふさわしくないとされる人物に対して行われる国会の意思表示。これまで収賄容疑で逮捕された鈴木宗男氏(02年)や、政治資金規正法違反容疑で逮捕された坂井隆憲氏(03年)らに突き付けられ、賛成多数で可決されてきた。

国民の生命・安全にかかわる原発事故情報を隠蔽し、官邸で閣僚や官僚を怒鳴り散らかしている暴君に突き付けられてもおかしくはない。

ただ、法的拘束力がないため、鈴木、坂井両氏とも辞職を拒否しており、仮に、菅首相に対する辞任勧告などが可決されても、政権延命に固執している菅首相は拒否する可能性が高い。

そこで、平野氏はこうたたみ掛ける。

「法的根拠はないが、従わなければ院の決議に反する『院議違反』となる。それを理由に内閣不信任案を再提出して、今度こそ可決すればいい」

つまり、大坂冬の陣・夏の陣のような二段三段構えで、「総理大臣辞任勧告」で外堀を埋め、菅首相の「辞任勧告拒否」で再度合戦に持ち込み、「内閣不信任案再提出」で、天守閣を落すという戦法だ。

実際、自民党の国対幹部や小沢氏に近い議員は、菅内閣に対する不信任決議案の今国会への再提出の可能性について研究を開始している。

ウルトラCは「信任決議の否決」

このほか、与党の一部では「内閣信任決議案の否決」というウルトラCも検討されている。

憲法第69条は「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」とある。内閣信任決議案の否決にも、内閣不信任案可決と同等の法的な強制力があるのだ。

前代未聞の「官邸籠城」を続ける菅首相に対して、法律や慣例を駆使した“異例の城攻め”が練られているわけだ。

ただ、手だてはあるものの、実行はなかなか難しい。秘策を披露した平野氏自身、「テクニックとしては可能だが…」といい、険しい表情で続ける。

「本会議で議決を行うかどうかを決める議院運営委員会で『総理大臣辞任勧告』や『辞任要求』などが通るかどうかは別の話。民主党はこれらの議決を認めないだろう」

「内閣信任決議案の否決も、否決を前提として内閣信任決議を出すのは支離滅裂な行動といえる。そういう国会議員は国民に理解されにくい」

どれも実現は簡単ではなさそう。がれきや放射能の除去が難しいように、困ったものほど取り除くのは難しい。結局は各議員の“やる気”にかかっているのだ。

まあ、法的に早期退陣させるには、このような奇策をすることになろうかね。
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