陸山会事件:解説 有罪立証のハードル高く

陸山会事件:解説 有罪立証のハードル高く毎日新聞 2011年10月6日)


検察審査会の2度の議決に加わった計22人の市民が導いた小沢元代表の公判。元秘書らの供述調書を重視して「従来の(検察の)起訴基準に照らしても容疑不十分との判断は首肯しがたい」(2度目の議決)と判断した結果だが、度重なる告発に対し検察が計4度にわたって不起訴とした元代表の有罪立証に向けたハードルは低くはない。判決は強制起訴制度の今後にも影響を及ぼしそうだ。

1審で全員有罪となった元秘書3人の公判では、裁判官が検事調書の多くを却下する一方、陸山会の口座のカネの動きなど客観事実と状況証拠から推認を重ねて3人の共謀を認め、中堅ゼネコン「水谷建設」からの1億円の裏献金という、虚偽記載の「背景事情」も認定した。

元代表の公判は担当裁判官が異なり、裏献金の存否も立証対象にはならない。元代表の関与や共謀を示す直接証拠である元事務担当者の石川被告らの調書採否が焦点となるが、政治資金規正法上、事務担当者と資金管理団体代表者(小沢元代表)との「距離」は、会計責任者だった大久保被告より遠いとされる。「指定弁護士は調書だけでなく客観事実と状況証拠のより細かい積み上げが必要」(元裁判官)になる。

また、元代表が提供した4億円について、元秘書3人の判決は「元代表ですら明快な説明ができていない」と指摘し、虚偽記載の動機と結びつけた。こうしたことに対し、元代表側が説得力ある説明ができるかも注目される。

「事務担当者と資金管理団体代表者との距離は事務担当者と会計責任者の距離より遠い」というのが政治家に有利になる根拠の一つでしょうね。

実際、政治資金虚偽記載で政治家自身が起訴されるのって中々難しいですから。
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