ロシア下院選で与党惨敗

揺らぐ「双頭体制」 大統領「公正」主張 米は批判産経新聞 2011年12月6日)


ロシア下院(定数450)選挙での大規模違反疑惑で、首都モスクワでは近年で最大規模となる反政府デモが行われたほか、米国政府も厳しく批判するなど、波紋が広がっている。与党「統一ロシア」を率いて選挙戦を戦ったメドベージェフ大統領は5日、「選挙は公正だった」と主張したが求心力は急速に低下しており、「双頭体制の継続」というクレムリン(大統領府)の戦略がどう推移するかが焦点になってきた。

メドベージェフ大統領は、与党が前回選から約80議席も減らす事実上の大敗を喫したことについて、「(与党は)集められるだけの票を獲得したし、選挙は規則通り公正に行われた」と述べた。

6日付の英字紙モスクワ・タイムズによると、動画投稿サイトのユーチューブには、ある人物が複数の投票所を回って何度も票を投じる「回転木馬」と呼ばれる違反の様子などが投稿されている。大統領は「いくつかの映像は見たが、見る価値もない」として信頼性に欠けるとの見方を示し、選挙の正当性は揺るがないとの立場を強調した。

一方、モスクワ市内の5日夜の反政権デモには5千〜7500人が集結、「プーチンのいないロシアを」「やり直し選挙を」などと叫んだ。

クリントン国務長官は6日、訪問先のリトアニアビリニュスで、「露下院選は自由でも公正でもなかった」と厳しく批判。欧州の選挙監視員の中には、「投票箱の中に折りたたんで隠された票が入っていた」とメディアに証言する者も現れている。

大統領は強腰で知られるプーチン首相とは対照的に、政治・経済の近代化やインターネットの全土拡充を掲げるなど、リベラル色をアピールしてきた。だが、名簿登載第1位で自ら統一ロシアを率いた今回の選挙で、プーチン氏との役割分担は破綻したとの見方が広がっている。

メドベージェフ氏の大統領就任直前にインタビューして本を出版したジャーナリスト、スワニッゼ氏は産経新聞の電話取材に、「彼は与党を率いてプーチン氏の分身になってしまった。役回りが似合わないから(政治的求心力が)弱体化した」と分析。

同氏は、来年3月の大統領選でプーチン氏が当選し、取り決めの通りにメドベージェフ氏が首相に転じたとしても、「期間はそう長くないかもしれない」と予測した。

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