指定弁護士役への慣れ
小沢氏の共謀成立・検察官役慣れぬ…指定弁護士(読売新聞 2012年4月21日)
小沢一郎民主党元代表(69)が強制起訴された陸山会事件の公判で、検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士(62)が、東京地裁で26日に言い渡される判決を前に、読売新聞の取材に応じた。 元代表の事件への関与を確信して公判に臨んできたことや、初めて被告を追及する側に回って感じた苦労や悩みなどを語った。 「自分のカネに関する犯行を、(元代表が)知らなかったとは考えられない」 大室弁護士は、半年間の審理を終えての感触をそう話す。公判では、小沢元代表が政治資金収支報告書への虚偽記入を元秘書らと共謀したかどうかが最大の争点となった。 「客観的に虚偽記入は動かない。元秘書との強い主従関係を考えれば、共謀は成立すると考えるのが常識的な判断だ」 元代表に対する検察審査会の起訴議決を受け、2010年10月、村本道夫(57)、山本健一(48)両弁護士とともに指定弁護士に就任。最年長の“主任格”として、強制起訴から公判まで800時間超を費やした。東京地検特捜部が手がけたリクルート事件などで検察側と対峙(たいじ)してきた経験豊富な弁護士だ。 「(検察官役は)慣れなかった。弁護士としては、公権力には自制を働かせるべきだと思っているが、公権力を行使する側に立って、どの程度自制し、どの程度主張していいのか感覚がつかめなかった。証拠が少ない中、どこまで言い切れるか、3人で議論になった」 指定弁護士制度への理解が不足していることも痛感した。起訴前の補充捜査で、元代表や関係者に聴取を打診しても、多忙などを理由に次々と断られた。元代表の自宅などへの捜索も検討したが、断念した。 |