陸山会事件の指定弁護士の控訴

控訴審焦点は「違法性の認識」 1審では争点化なく無罪理由に産経新聞 2012年5月9日)


小沢一郎被告の控訴審で最大の焦点となるのは、指定弁護士側が「違法性の認識」を立証できるかどうかだ。1審は指定弁護士側の主張の大半を採用しながら、この点が立証しきれていないと判断、判決の明暗を分けることになった。指定弁護士側は「相当の確度で判決を修正できる」と逆転有罪へ自信を見せるが、より難しい立証を迫られることになるのは確実だ。

判決は「小沢被告が、虚偽記載にあたると認識していなかった可能性がある」として共謀を否定した。だが、そもそも違法性の認識は主要な争点になっておらず、被告人質問でもほとんど言及されていない。

このため、指定弁護士らには「争点にもなっていない話の上に、可能性を持ち出して無罪とするのは、納得できない」との不満が残った。

例えば判決は、陸山会が平成16年に支払った土地取得費が16年分政治資金収支報告書ではなく17年分に記載されていた点について「小沢被告が、実際に17年に土地が取得されたと考えていた可能性」を指摘。しかし、指定弁護士側は「小沢被告は16年の段階で土地取得のための銀行融資書類に署名している」として、判決の指摘する「可能性」はありえない、とみる。

控訴審ではこうした判決の指摘が「事実誤認にあたる」と主張する方針だ。


最高裁は今年2月、事実誤認を理由に1審判決を見直す場合は、事実認定がよほど不合理な場合に限られるとの判断を示した。

しかし、小沢被告の公判はもともと証拠が乏しく、有力な新証拠も見つけにくいという事情がある。指定弁護士側は判決後に寄せられた情報などを立証材料に加えられないか検討したが、決め手となるものは見つかっていないという。

このため、指定弁護士の一人が「手持ち証拠でやるしかない」と話すように、控訴審は従来の証拠を中心に、元秘書の供述調書を改めて証拠請求するなどして補強材料としたい考えだ。

「判決の指摘する『可能性』をつぶすことに加えて、小沢被告には虚偽記載に関与する動機があったことを立証する必要がある」とみる指定弁護士もいる。

主任格の大室俊三弁護士は関係者の聴取などの補充捜査を行う可能性もあるとしており、今後、高裁が指定する控訴趣意書の提出期限まで控訴理由の検討を続ける方針だ。

まあ、小沢一郎は今の時代では政治家にはふさわしくないとは思うけど、この事件を有罪にできるかと言ったら…かなり厳しいな。指定弁護士の気持ちもわからないわけではないが、逆転有罪は相当難しいだろう。正直、東京地裁が指定弁護士の有罪寄りの言い分をここまで認めるとは思わなかったしね。
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