小沢一郎秘書に対する政治資金規正法違反の訴追

小沢一郎秘書が政治資金規正法違反で起訴されました。

起訴状の罪状は主に以下のとおり。
陸山会の収支報告書、記載と違う出入り27億円(読売新聞 2010年2月1日)

[http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-02-06/2010020615_01_1.html:title=小沢氏団体疑惑 20億円超す虚偽記載 これでも形式ミスか](赤旗 2010年2月6日)


正直なんでこんな複雑な金の動きをしているだろうか? 元検察OBで総務省顧問をしているG氏は「期ズレ」とか言い、小沢シンパ・アンチ検察の人々もそれに乗って無罪論を主張しています。確かにいくつかについては「期ズレ」で説明できるでしょう。しかし、虚偽記載はそれだけではなく、他については「期ズレ」では全く説明できません。小沢一郎の政治資金の流れ隠蔽が悪質なものと疑って起訴をしても仕方がない案件であることは明らかにですね。

そもそも、2002年に発覚した鈴木宗男問題では、鈴木宗男政治団体間の資金の流れである構造改革研究会から21世紀政策研究会の裏金化について、政治資金規正法違反で一審有罪になった際は、民主党幹部は鈴木宗男を有罪扱いをするコメントをしていました。つまり、民主党がある政治家の傘下にある政治団体間の資金の虚偽記載を犯罪であるとして認めたことになります。これはご都合主義ではないでしょうか? なお、鈴木宗男政治資金規正法違反について二審でも有罪になっています。

G氏は検察在籍時の検察の手法に批判的でアンチ検察になるのも結構だとは私は思う(ただ、G氏の擁護っぷりを見ると、小沢一郎や秘書がテレビカメラ中継の前で人を殺して現行犯逮捕されても「捜査機関の陰謀」とか言いそうだけどね)。小沢一郎事務所サイドの問題にも切り込んでもらいたいね。検察を聖域にしないのも結構だが、民主党も聖域じゃないのだから。

政治資金規正法違反の虚偽記載とは何か? 申告漏れは過失で記載ミスがあれば修正報告をすればいいが、虚偽記載は悪意がある故意によるものなので刑事事件の対象となるかの違いだ。税金と同じで記載ミスがあれば修正報告で延滞税などが出るだけが、悪意がある故意によるものであれば脱税となる。政治資金の場合は記載ミスがあっても延滞税が出ないからずいぶん恵まれてると思うけどなあ。

2003年3月に坂井隆憲が1億2000万円の逮捕許諾に民主党(及び自由党)は賛成をしているのだから、今回の起訴は金額面では問題はない。

小沢一郎の政治資金について書くとすれば、秘書が起訴された以上は小沢一郎に道義的責任はあるだろう。でも小沢一郎本人を起訴できなかったのは、共謀が成立するかについて証拠が弱すぎるからだ。

小沢一郎を起訴をするために検察審査会に訴えてるらしいが、起訴されるかどうかわからないし、起訴されても有罪にするのは難しいだろうね。

確かに共犯者(大久保隆規石川知裕・池田光智)の公判中は公訴時効が停止になる(オウム逃亡トリオの平田信高橋克也菊地直子遠藤誠一土谷正実中川智正の公判中で公訴時効が停止になっているのと同じ)。しかし、検察審査会の11人中8人が2回とも不起訴に異論を唱えるというのはかなりハードルが高い。これをクリアできるかどうか?

仮に起訴議決制度で強制起訴されても有罪にするためのハードルがある。強制起訴制度は素人弁護士が検索官役で公務員職権乱用での準起訴手続制度と似ている。準起訴手続制度は18件起訴されて8件が無罪になっているように、他の事件より有罪率が低い。強制起訴制度や準起訴手続は検察官が被疑者に甘い対応をしたのではないかという懸念が中心となっている制度だけど、今回の小沢一郎の政治資金問題は小沢一郎を起訴したい東京地検特捜が起訴できなかったから、東京地検小沢一郎を庇ったという性格のものではないので、東京地検特捜が有罪に持ち込めないと判断したものを素人弁護士が有罪に持ち込めるのかねえ〜。
人気ブログランキングへ
鈴木宗男衆議院外務委員長起用問題を見るにはここをクリック