平成の二・二六事件?

鈴木宗男が2010年の民主党大会で


これは平成の二・二六だ。権力の暴走。必ず汚点を残す
と語りましたね。

昭和に起こった二・二六事件とは首相、内府、蔵相、前内府、内相、教育総監侍従長が襲撃対象となり、内府、蔵相、教育総監、首相秘書が殺されて、侍従長が重傷になったテロ事件です。

さて、今回はそれに当てはまりますでしょうか? まず、強制捜査は裁判所が交付した捜索差押令状に基づいて行われ、第一与党幹事長秘書3人の逮捕も裁判所が交付した逮捕令状に基づいて行われました。今回の事件の検察官は二・二六事件で法律無視のテロ行為で行政府要職人物を殺害した血気盛んな青年将校とは比較になりません。

また、栗栖赳夫経済安定本部長官が首相の許可なく現職閣僚として逮捕された昭和電工事件(裁判所は憲法第75条については「訴追は、逮捕・勾留とは関係ないため、現職閣僚の逮捕に首相の同意は必要ない」との判断を下して、逮捕令状を交付している)や、第一与党幹事長である佐藤栄作に逮捕令状請求(法務大臣の指揮権発動で逮捕を含めた強制捜査中止)をした造船疑獄事件のほうが、政界を大きく揺るがす捜査でした。

しかし、今回の事件は、たかが一国会議員の政治資金問題で捜査対象になって現職国会議員を含めた一国会議員秘書3人が対して起訴されたにすぎず、行政職の要職人物は捜査対象にすらなっていません。

週刊朝日がやっている検察批判キャンペーンについても言及しておきます。石川知裕の女性秘書に対する捜査や捜索差押令状が届く前に差押さえ的な捜査をしたとのですが、仮に問題があったとしても、女性秘書に関する捜査や捜索差押令状が届く前の差押さえ的な捜査についてのみ部分的に捜査が裁判で証拠認定されないということです。ロッキード事件で在米外国人の嘱託証人尋問調書が最高裁で無効になっても、他の証拠で有罪判決が維持確定したのと同じです。ゼネコン汚職事件でも某検察官が取り調べで証人に暴力をふるったことがバレて法律違反で有罪確定(勿論、懲戒免職)になりましたが、贈賄側や収賄側が無罪判決が出なかったのと同じです。

ジャーナリズム魂として検察批判をするのも結構ですが、アンチ検察はこれをもって石川知裕を含めた小沢一郎秘書3人を無罪と主張するのも野暮というものです。ただ、特定の検察官の行動に問題があるのであれば、裁判所に公務員職権乱用罪に準起訴手続きを訴えたり、検察官適格審査会に訴えるということはすべきだと思います。

アンチ検察は「土地購入の記載時期がズレているだけだから無罪」などと言っていますが、小沢一郎秘書に対する政治資金規正法違反の訴追で書いたように、小沢一郎秘書3人に対する起訴状は土地購入の記載時期がズレているということ以外にも多岐にわたって虚偽記載が行われていることを明記しておりますし、そのことについてはアンチ検察から反論は未だにありません。

別に私は検察礼賛ではないし、被告人は裁判で無罪を主張する権利はあると思っている。検察捜査に違法性があれば裁判で否定されるが、部分的に裁判で取り上げられないだけで、他の証拠を持って有罪判決が維持されることはありますのでね。

結論。今回の小沢一郎秘書3人の逮捕起訴は平成の二・二六事件などではありません。
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