ユーロ圏、寄り合い所帯の弱点露呈

“のろまなカメ”に世界が大迷惑 ユーロ圏、寄り合い所帯の弱点露呈産経新聞 2011年10月12日)


ギリシャ危機の拡大阻止に不可欠な欧州金融安定化基金(EFSF)の強化策をめぐるスロバキア議会の迷走は、寄り合い所帯のため、意思決定にすら時間のかかるユーロ圏の弱点を改めて浮き彫りにした。金融機関の資本増強策をめぐっても主導役の独仏の間に意見の隔たりがあるなど、各国の足並みはバラバラ。「のろまなカメ」(市場関係者)が、危機を深刻化させ、日本を含む世界経済の足を引っ張っている。

「われわれより豊かなギリシャを支援する必要はない」。スロバキア議会が強化策を否決した背景には、こんな不満がある。

スロバキアは統一通貨ユーロを採用する17カ国でエストニアに次いで2番目に貧しく、平均年収は9千ユーロ(約93万円)とギリシャの3分の1程度だ。

そんなスロバキアが強化策で求められる債務保証額は77億ユーロ(約8千億円)と、国内総生産(GDP)の約1割に上る。

スロバキアは2009年のユーロ導入に際して、消費税に当たる付加価値税を引き上げるなど財政改革を進めた経緯があるだけに、放漫財政で行き詰まったギリシャ支援に対する国民の不満は根強い。

今回の強化策は、今年7月のEU首脳会議で合意したものだ。融資枠の拡大に加え、市場での国債買い入れや金融機関への資本注入など機能強化も盛り込まれており、ギリシャ危機がイタリアやスペインなどに飛び火し、こうした財政悪化国の国債を大量に持つ金融機関が連鎖破綻するのを防ぐのに欠かせない措置だ。

ところが、1カ国でも反対すれば実行できない。当初は、ドイツでも税金投入への国民反発が強く、承認は先月末にずれ込んだ。

「1つの決定を下すのに17の政府と17の国会を説得する必要がある」。サルコジ仏大統領も認めざるを得ないスピード感の欠如は致命的だ。

金融機関が連鎖破綻した08年のリーマン・ショックの再来を防ぐ資本増強策も、実現は難航が予想される。独仏は資本増強の必要性では一致しているが、その手順では大きな隔たりがある。

自国の財政も悪化しているサルコジ大統領は、EFSFの積極的な活用を主張。これに対し、財政が健全なうえ、他国の支援による負担増を避けたい独のメルケル首相は、金融機関の自力増資や各国政府による公的資金注入を先行させることを求めている。

市場は、こうした欧州の対応の遅れと足並みの乱れに失望。世界的な株安やユーロ安を招き、日本に打撃を与える超円高の原因にもなっている。欧州が失速すれば、日米や新興国も影響を受け、世界経済全体が「新たな危険水域」(ゼーリック世銀総裁)に突入する恐れがある。

ユーロって船頭多くして船山に登るの典型例だな。もっと加盟国を少なくしたほうがよかったんじゃないかと今になって思うな。
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