北朝鮮の最高権力は・・・

北の重要3ポスト空席…暫定的な集団指導体制も(読売新聞 2011年12月19日)


北朝鮮の権力構造は大別して、朝鮮労働党、国防委員会、朝鮮人民軍の三つの柱からなる。

北朝鮮の最高指導者は、独自の政治思想「主体(チュチェ)思想」に基づく「首領の唯一支配体制」により、あらゆる権力が集中する。円滑な政権運営には、これらの権力機関の掌握と支持獲得が不可欠となる。

金総書記の死去により、朝鮮労働党総書記、「最高指導機関」である国防委員会委員長、人民軍最高司令官の重要3ポストが空席となった。国防委員長は最高人民会議(国会)、軍最高司令官と党総書記は党中央委員会での推戴(すいたい)、選出手続きが必要だ。

形骸化した党中央委員会を再構築した党代表者会は、必要ならいつでも開催可能。党大会と違い、準備期間も短期間で済む代表者会で、正恩氏をポストに就けることも可能とみられる。

だが、正恩氏が権力継承に費やしてきた期間は金総書記と比べてあまりに短い。

このため、当面は正恩氏を事実上の最高指導者として党中央軍事委員会を中心に暫定的な集団指導体制を敷くとの見方もある。

空席となった重要3ポスト 金正恩氏が引き継ぐには?産経新聞 2011年12月20日

金正日総書記の死去により、北朝鮮の最高指導者が持ついくつかの重要ポストが空席となった。金総書記の後継者、金正恩氏はこれらの地位を引き継いで、形の上でも正式に金正日体制を後継することになる。

空席のうち、特に重要なのは国防委員長、朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官だ。国防委員会は国家主権の最高軍事指導機関。頂点に立つ国防委員長は国防全般を指導し、すべての武力を統率、指揮する。人民武力部や傘下に位置する人民軍も、その指導に従う。国防委員長は2009年の憲法改正で「最高領導者」とされ、国の最高指導者に位置づけられた。

党総書記は朝鮮労働党のトップで、党中央委員会傘下の中央軍事委員会が人民軍を指揮する。

金正日総書記は金日成主席存命中の1991年、軍の最高司令官に、93年、国防委員長に選ばれた。さらに、98年の最高人民会議で国防委員長に改めて「推戴(すいたい)」された。総書記には、94年の金日成主席の死去後、3年あまりの“服喪期間”を経て、推戴されるかたちで選ばれた。

金正恩氏は金総書記の死後“不世出の統帥者”(朝鮮中央通信)と呼ばれ、後継者であることの既成事実化がすでに北朝鮮国内では進められている。いずれ国防委員長や総書記など“空白の重要ポスト”を引き継ぐことが予想される。

ただ、金正恩氏が軍や党で持つ肩書は現時点で、人民軍大将と党中央軍事委員会副委員長ぐらい。これらは、金正恩氏が公式に登場した昨年につけられた。

金正日総書記は、80年の党大会で公式デビューしており、その後17年をかけ段階的に軍最高司令官、国防委員長、総書記になった。亡命者らの話によれば、軍内部では「軍隊経験もないのに最高司令官とは」との批判もあったという。

また、総書記は本来、党大会で選ばれ、国防委員長は最高人民会議で選ばれるはずだが、金正日総書記は「推戴」や「推挙」という超法規的なかたちで就任した。憲法の中には、金総書記の肩書を正当化するために改正されたとみられるものが少なくない。

それでも金総書記の場合、時間をかけ後継基盤を作った。金正恩氏は公式に登場して1年あまり。しかも父の死に伴う世襲の時点での肩書にも、金総書記とは差がありすぎる。

重要ポストの後継について北朝鮮では、正式な手続きを経ない超法規的な方法が“常識化”しており、金正恩氏も父親にならい国防委員長や総書記に推戴されるかもしれない。問題は、短期間での後継就任が北朝鮮でどう受け止められるか。また、金正恩氏がそれらの重責を背負っていけるかどうかだ。

たかが28歳の若造が核兵器保有する独裁国家のトップになると思うと頭を抱えたくなるわ・・・。
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