古川信也バラバラ殺人事件

「塩だけで生きろ」 殺害後にBBQ 8年前のバラバラ殺人、南アから帰国の女は…産経新聞 2011年11月12日)


女は遠い異国の地で8年間を過ごし、突然、帰ってきた。平成15年に東京都奥多摩町などで、元飲食店従業員の古川信也さん=当時(26)=のバラバラ遺体が見つかり、6人が逮捕された事件。南アフリカに逃亡し、共犯として国際手配されていた当時19歳の女(28)が今月1日になって帰国し、殺人容疑で警視庁に逮捕された。8年前に古川さんと、恋人だったこの女に何があったのか。突然の帰国の理由とは…。捜査関係者への取材や関係者の公判記録から事件に迫った。

事件当時、付き合っていた古川さんが平成14年ごろ、トラブルに巻き込まれたことから、2人の運命の歯車が大きく狂い始める。

古川さんは店の顧客名簿を持ち出して辞めたため、店側とのトラブルになり、解決してくれる人物を探していた。そのとき知人を通じて知り合ったのが、後に古川さん殺害事件の主犯格として殺人容疑などで国際手配される松井知行容疑者(39)だった。

暴力団にも顔の利く人物として六本木界隈で有名だった松井容疑者は、すぐにトラブルを収めたが、その見返りとして、逆に古川さんを利用し始めた。

古川さんが新たに開く予定の店で顧客名簿を使って、客のクレジットカードの情報を不正に入手したり、女性従業員の接待する様子をビデオに撮影して、恐喝しようとたくらんだ。古川さんと女は、松井容疑者に恐怖を覚えるようになり、15年9月、一緒に行動していた2人の友人とともに六本木から逃げ出した。

4人は福島県にアパートを借りて身を隠したが、逃走に激怒した松井容疑者は、わずか約1週間後の同年9月17日、古川さんの友人を利用して、古川さんを千葉県市川市のレストランにおびき寄せ、拉致する。アパートで古川さんの帰りを待っていた女も、松井容疑者の仲間に無理やり車に乗せられ、連れ去られた。

古川さんと女は、埼玉県戸田市内のマンションに監禁された。松井容疑者と8人以上の仲間が、古川さんに暴行を加え、風呂場の浴槽に閉じこめた。「お前、なんで逃げたんだ、殺されたいのか」「塩だけで生きろ」。古川さんには食べ物も与えられなかった。女も別の部屋に閉じこめられた。

松井容疑者ら監禁グループは当初、古川さん殺害までは考えていなかったが、松井容疑者が古川さんの荷物から、自分たちのグループの組織図のようなものを見つけて怒り出すと、雰囲気が変わった。「殺す」。松井容疑者は本気でそんな言葉を口走り始めた。

「松井は仲間うちでは恐れられていて誰も逆らえない存在だった。逆らったら自分がやられるという思いで、松井の言うことを聞いていたようだ」。ある捜査関係者は、当時のグループの心理をこう分析する。

松井容疑者の意向は、女にも伝わった。「自分も殺されるかもしれない」。女は思った。松井容疑者の仲間の一人が「古川は許せないが、○○ちゃん(女の実名)には死んでほしくない」とこぼすと、女は「私も死にたくない」と必死で命ごいをした。

グループは、当時19歳だった女の処遇について、頭を悩ませた。「解放すれば、警察に通報するに違いない」「一緒に殺せばいい」。すぐに結論は出なかった。「誰かの女にすればいい」。松井容疑者は、乱暴することを提案したが、最終的には、古川さん殺害の仲間に加えることで、逃げられないようにしようということになった。

「このままじゃ(古川)信也は絶対に殺される。一緒に殺さないと○○ちゃんも殺されるよ。俺もやるから、一緒にやろう」

グループの1人にこう持ちかけられた女は、初めそれを断ったが、実際に古川さん殺害現場に向け連れ出されると、もう断ることはできなかった。

監禁したその翌朝、松井容疑者らは古川さんの手足を粘着テープで縛って段ボールに詰め込み、トラックの荷台に乗せ、東京都奥多摩町の仲間の自宅に移した。さらに翌日には殺害現場へ向け、出発した。一緒に連れて行かれた女は、車内でも古川さんを殺すように説得され、ついに首を縦に振った。

15年9月19日午後1時ごろ、グループは山梨県丹波山村のキャンプ場に着いていた。縛られた古川さんの周りを、松井容疑者と6人の仲間、それから女が取り囲む。

「○○ちゃん、やるよ」

グループの1人からこう言われると、女は弱り切った恋人、古川さんの首を一番初めに絞めた。続いて、グループは次々に木片を首に押し当てたり、ポリ袋をかぶせたりして、古川さんを殺害した。

古川さんの死を確認すると、松井容疑者は「バーベキューしよう」と提案し、遺体を車のトランクに入れたまま、女らと河原でバーベキューをした。その後、仲間に命じて、遺体の頭と腕と足をノコギリで切断させ、奥多摩町などにバラバラに遺棄した。

その後、松井容疑者は、17歳だった自分の交際相手、仲間の1人だった紙谷惣容疑者(37)=殺人容疑などで国際手配=、そして女の3人を連れて、アメリカ行きの飛行機に乗り、さらに南アフリカにわたった。南アは、死刑制度のある日本に犯罪人を引き渡さないことで知られている。「松井容疑者は女を自分のモノのように扱っていた。女も助かるためには仕方なかったのではないか」。捜査関係者は分析する。


女が南アでどういう生活を送っていたかは分かっていない。昨年、南アで開催されたサッカーワールドカップ(W杯)で、インターネット上で宿泊先を申し込んだ日本人観戦客ら100人以上から、宿泊費用など約1億円をだまし取った事件に関与した疑惑も浮上しており、不法行為などで逃亡費用を捻出していた可能性もある。

逃亡中、日本では古川さんを殺害・遺棄したほかの仲間たち6人が逮捕され、成人だった4人が実刑判決を受け、未成年だった少女も少年院に送致された。平成17年には一緒に逃亡した松井容疑者の交際相手も1人で帰国し、逮捕された。

残された女は何か思うことがあったのか、今年11月、日本にいる母親に「帰国したい」という意向を伝え、自分1人で航空便で成田空港に帰ってきた。警視庁から殺人容疑を伝えられ、逮捕されると「違います」と否認したという。

捜査関係者は「恋人殺害に無理やり加担させられたという思いがあり、被害者という意識が強いのだろう」と推測するが、真相は分からない。2人を恐怖に陥れた松井容疑者と、仲間の紙谷容疑者はいまも逃走を続けている。

この19歳の女は実名出ないのかねえ?
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